最終更新日:2023年3月1日
昨今、世界中に様々な3Dプリンターが乱立する中、業界をリードし続けるストラタシス社。しかし、いざ「ストラタシスを導入しよう」と思っても、「製品や方式が多くて選び方が分からない...」というお声をいただきます。
このコラムでは、ストラタシス社製3Dプリンターの選び方をご案内します。
ストラタシス社製3Dプリンターの4つの方式
FDM方式とは?
簡単に言えば、ソフトクリームマシンに似た方式です。
フィラメント状の熱可塑性プラスチックをプリントヘッドの部分で溶解し、一筆書きの要領で材料を積み上げます。ABSやPC、Nylon等の様々な工業グレード材料に対応しているので、造形モデルは試作品のみならず、治工具や最終製品として活用することができます。
PolyJet方式とは?
複合機や家庭用のプリンターに似た方式です。
しかし、ヘッドから噴射するのはインクではなくUV硬化性のアクリル樹脂です。粒子の細かい材料を噴射するため、表面が滑らかで微細な形状のモデルを造形することができます。透明材料やゴムライク材料、フルカラー造形、さらには材料の混ぜ合わせによる様々な物性のリアルなモデルを造形することができます。デザイン検証や樹脂型としての活用が可能です。
光造形方式とは?
3Dプリンター史の中で最も歴史のある造形方式です。
この方式もUV硬化性のアクリル樹脂を使用しますが、PolyJet方式との大きな違いは、「吊り下げ方式」であることです。材料を水槽に溜めて、吊り下げられた造形トレイに対して、下からUVライトを照射することで樹脂を硬化させます。この方式には大きく、レーザー照射で材料を硬化させる「レーザー方式」とプロジェクターでUVライトを照射させる「DLP方式」に分かれます。いずれも表面品質が高く、高精細なモデルの造形が可能です。なお、材料の混ぜ合わせはできません。一部のDLP方式では最終製品グレードの強度/耐熱性を持つモデルを造形することができます。
SAF方式(粉末床溶融結合方式)とは?
『SAFテクノロジー』は「粉末床溶融結合方式」に基づいたパウダーベッドワイドフュージョンを意味します。
圧電(ピエゾ)プリントヘッドからHAF流体を選択的に噴射する工業グレードの製造造形を可能にし、最終製品向けのスループットを提供します。1パスで全ての範囲に「SAFテクノロジープリント」「ヒューズ」「リコート(BigWave™)」を行います。これにより均一な熱制御が可能となり、ベッド全体に渡わたり均一な仕上がりを実現します。生産に適したモデルの量産が可能です。
FDM方式製品の選び方
FDM方式が最適なユーザーは以下の通りです。
- 強度のあるモデルを造形したい。
- 試作品だけではなく、治具や工具、最終製品も作りたい。
- ランニングコストをできるだけ抑えたい。
- 大きなモデルを造形したい。
- 工業グレードや実製品と同じプラスチックを使用したい。
ストラタシスのFDM方式3Dプリンターは対応材料や造形サイズに合わせた様々な製品ラインナップが御座います。
選び方の例①
造形サイズ:~25㎝程度のモデル
使用材料:ABSやカーボン材料を使用したい。
FDM方式のプロフェッショナル向け3Dプリンター
Stratasys F123シリーズがおすすめ
おすすめ機種:Stratasys F170(メーカー:Stratasys)
おすすめポイント
- 強度・靱性のあるABS材料を使い、試作から治具工具・最終製品に使える
- 素早く低価格に作製できるコンセプトモデルから耐久性の高いパーツまで、あらゆる3Dプリントを可能
選び方の例②
造形サイズ:~40㎝程度のモデル
使用材料:ABSはもちろん、ULTEMやPC等のスーパーエンプラを使用したい。
FDM方式の3Dプリンターとしての上位機種
Stratasys Fortusシリーズがおすすめ
おすすめ機種:Fortus450mc(メーカー:Stratasys)
おすすめポイント
- 高機能なエンジニアリングプラスチックまで利用可能
- 高度な造形データ編集ソフトに対応し「強度」「造形速度」「軽量化」を自在にコントロール可能
- 広い造形トレイ
厳しい試験にも耐えられるレベルの造形物を出力できる実績ある機種です。
詳細を見る選び方の例③
造形サイズ:~100㎝程度のモデル
使用材料:ABSや耐候性材料のASAを使用したい。
大型造形 FDM方式3Dプリンター
Stratasys F770がおすすめ
おすすめ機種:Stratasys F770(メーカー:Stratasys)
おすすめポイント
- 最大372,000㎤の造形ボリュームを持つ大型3Dプリンター
- ABSとASAの大容量フィラメントに対応
- 3,277㎤の大容量カートリッジに対応
PolyJet方式製品の選び方
PolyJet方式が最適なユーザーは以下の通りです。
- 表面品質(滑らかさ)を求めている。
- 微細な形状や複雑なモデルの造形がしたい。
- 軟質材料や透明材料等、様々な材料を使用したい。
- フルカラーモデルの造形がしたい。
ストラタシスのPoolyJet方式3Dプリンターは対応材料や造形サイズに合わせた様々な製品ラインナップが御座います。
選び方の例①
造形サイズ:~30㎝程度のモデル
使用材料:ランニングコストを抑えたり、白や黒、ゴムライクも使用したい。
ポリジェット方式の基本モデル
デスクトップシリーズがおすすめ
おすすめ機種:Objet30Prime(メーカー:Stratasys)
選定ポイント
- PolyJet方式の3Dプリンターは細かなパーツの咬合確認等にも最適
- クリア材料やゴムライク樹脂の使用も可能だから、試作の表現力の幅が拡がる
選び方の例②
造形サイズ:~30㎝程度のモデル
使用材料:複数の材料を同時に使用したい。
実際の製品のような外観と感触のプロトタイプを造形可能な3Dプリンター
J シリーズがおすすめ
おすすめ機種:Stratasys J35Pro(メーカー:Stratasys)
選定ポイント
- 最大3種類の異なる材料の同時使用・混ぜ合わせが可能
- コンパクトで上位機種と同等の性能を持ちながら、低コストで導入が可能
光造形方式製品の選び方
光造形方式が最適なユーザーは以下の通りです。
- こぶし大程度のサイズのモデルを高品質に造形したい。
- 透明度の高いモデルを造形したい。
- 造形スピードを上げて、作業効率を上げたい。
- 工業グレードのモデルを造形したい。
光造形方式には、上記の通り「レーザー方式」と「DLP方式」の2種類が御座います。
「レーザー方式」は低価格帯の装置もありますが、安定性・強度・造形スピードの面から、工業用途して使うには「DLP方式」を推奨いたします。
ストラタシス史上初となる光造形方式の3Dプリンター
Origin Twoがおすすめ
おすすめ機種:Origin Two(メーカー:Stratasys)
選定ポイント
- 業界をリードする射出成型レベルの精度を実現
- 複数台を1ユニットとして増設することが可能
SAF方式(粉末床溶融結合方式)製品の選び方
SAF方式(粉末床溶融結合方式)が最適なユーザーは以下の通りです。
- 最終製品グレードのモデルを造形したい。
- 小~中規模の量産を行いたい。
- 3Dプリンターにありがちな「強度の異方性」を解決したい。
- ランニングコストを抑えたい。
「粉末床溶融結合方式」は均一な熱制御ができるか、が大きなポイントとなります。
「粉末の敷き詰め」「熱処理」「リコート」を1工程で実施できる装置をお勧めいたします。
『SAFテクノロジー』を採用した製造向け「粉末床溶融結合方式」3Dプリンター
Stratasys H350 がおすすめ
おすすめ機種:Stratasys H350 (メーカー:Stratasys)
選定ポイント
- 耐久性、機械特性に優れたパーツの安定造形が可能
- 大量生産、短期生産の現場において、一貫性のある高精度のモデルを造形
まとめ
このように、ストラタシスは様々な3Dプリンター製品や材料を展開しております。
お客様のご用途やニーズ、ご予算感に合わせた機種選定が可能ですが、ラインナップが豊富であるがゆえに選びきれないこともあると思います。
その際は、弊社の経験豊富な営業より最適なご提案をさせていただきます。些細な事でも構いませんので、お気軽にお問合せください。